在米の統一教会信者秀のブログ 95年8月~96年3月7つの鍵で施錠されたマンションの高層階で監禁下での脱会説得を経験。
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第3 争点に対する判断
1 後掲の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。(1)~(21)
2 争点(1)(被告森の本件発言が「公権力の行使」に該当するか(予備的請求原因))について(1)~(2)
3 争点(2)(被告森の本件発言によって,原告元学生の権利又は法律上保護される利益が侵害されたか。)について(1)~(2)
4 争点(3)(被告森の本件発言が原告元学生との関係で,仮に違法であるとした場合,違法性の程度はどのようなものか。)について(1)~(4)
5 争点(4)(本件発言の際,原告父及び原告母の権利又は法律上保護される利益を侵害することについて,被告森に,故意又は過失があったか。)について
6 争点(5)(被告森の本件発言は,原告父及び原告母の権利又は法律上保護される利益を侵害したか。また,仮に侵害が認められ,違法であるとした場合,違法性の程度はどのようなものか。)について
7 争点(6)(被告森の本件発言は,「事業の執行につき」なされたものか。)及び争点(7)(被告森の本件発言について,被告佐賀大学は,その事業の監督について相当の注意をしたか。)について
8 結論
(別紙)被告森と原告元学生の会話要旨
事実及び理由
第1 請求
1 被告らは,原告元学生(以下「原告元学生」という。)に対し,各自220万円及びこれに対する平成24年2月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 被告らは,原告父(以下「原告父」という。)各自110万円及びこれに対する平成24年2月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 被告らは,原告母(以下「原告母」という。)に対し,各自110万円及びこれに対する平成24年2月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
1 本件は,被告森善宣(以下「被告森」という。)が,原告元学生の信仰を軽蔑・侮辱する発言を繰り返しながら「原理教なんてやめるべき。」などと申し向け,原告元学生の信仰 の自由及び名誉感情を侵害したとして,原告元学生において,被告森に対し,不法行為に基 づく損害賠償として慰謝料等を請求し,また,被告森が,原告父及び原告母が世界基督教統 一神霊協会(以下「統一協会」という。)の合同結婚式を通じて結婚したことについて,原告元学生に対し,「おかしい結婚」「犬猫の結婚」などと申し向け,原告父及び原告母の 名誉感情を侵害したとして,原告父及び原告母において,被告森に対し,不法行為に基づく 損害賠償として慰謝料等を請求し,さらに,原告らにおいて,被告国立大学法人佐賀大学(以下「被告佐賀大学」という。)に対し,主位的には,民法715条1項に基づき損害賠償を請求し,予備的には,国家賠償法1条1項に基づき国家賠償を請求した事案である。
2 争いがない事実等(証拠により容易に認められる事実は,末尾に証拠を掲記した。)
(1)原告元学生は,(黒塗り)原告父と原告母の長女として出生し,(黒塗り)被告佐賀 大学文化教育学部に入学し,統一協会の教理(統一原理)を研究している任意団体である 佐賀大学CARPに入会した。(甲13)
原告父は,(黒塗り)統一協会に通うようになり,また,原告母は,(黒塗り)統一協会に 通うようになり,(黒塗り)原告父と原告母は,統一協会による合同結婚式に参加し,婚姻 した。(甲14,15)
(2)被告森は,平成〇〇年4月から被告佐賀大学の准教授であり,平成〇〇年10月から 始まったゼミ(国際政治学演習II)において,原告元学生の指導教員であった。(乙ロ2)
(3)佐賀大学CARPは,WorldCARPJAPAN(以下「CARP」という。)に加盟する団体で ある。また,CARPは,WorldCARP(以下「W-CARP」という。)に加盟する団体である。 (甲13,弁論の全趣旨)
(4)原告元学生は,平成24年2月10日,被告佐賀大学内にある被告森の研究室を訪れた。被告森は,同研究室において,当時,被告佐賀大学3年生であった原告元学生と,別紙被告森と原告元学生の会話の要旨記載の会話(以下「本件会話」という。)をした。(同要旨中の被告森の発言を以下「本件発言」という。甲6の1,6の2,乙ロ1)
3 争点及び争点についての当事者の主張
(1)被告森の本件発言が「公権力の行使」に該当するか(予備的請求原因)
(原告らの主張)
仮に,「公権力の行使」を私経済作用及び営造物の設置管理作用を除く全ての国の作用と解 するならば,被告森の本件発言は,原告元学生の指導教員として,原告元学生を学内の研究 室に呼び出して本件発言に及んだものであり,外形的・客観的に見て,国立大学法人の教職員による学生指導として「その職務を行うについて」なされたものであり,「公権力の行使」に該当する。(被告佐賀大学の主張)
被告森の本件発言は,大学職員と学生という関係性とは無関係な,原告元学生に対する恋愛感情の発露であり,「公権力の行使」とはいえない。(被告森の主張)
認める。(2)被告森の本件発言によって,原告元学生の権利又は法律上保護される利益が侵害されたか。
(原告元学生の主張)
被告森の本件発言は,統一協会の教義及び教義に基づく合同結婚式を批判・否定するなどし,合同結婚式により婚姻した原告元学生の両親を聞くに堪えない言葉で侮辱した上,統一協会からの脱会を強要したものであり,これにより原告元学生の信仰の自由及び名誉感情が侵害された。(被告らの主張)
被告森の本件発言は,原告ら自身の精神活動に直接に向けられたものではなく,その帰依する宗教団体又は信仰の対象に向けられており,これによりいわば間接的に自己の信仰生活の平穏が害されたに過ぎず,その不利益は,法的救済の対象とはなり得ない。(3)被告森の本件発言が原告元学生との関係で,仮に違法であるとした場合,違法性の程度はどのようなものか。
(原告元学生の主張)
被告森の本件発言により,原告元学生の信仰の自由及び名誉感情が著しく侵害された。(被告らの主張)
損害賠償責任における違法性判断は,当該発言が発せられるに至った経緯,発言の趣旨・内容,程度,発言がなされた際の客観的な状況等を総合的に考慮して決せられるところ,本件では,原告元学生は被告森と一対ーで談笑しながら会話をしており,原告元学生は,被告森の発言が不愉快であるならば容易に退出することもできるにもかかわらず被告森との会話を意図的に引き延ばした上で,秘密裏に録音しているのであるから,金銭賠償をもって補わなければならないほどの強度の違法性はない。(4)本件発言の際,原告父及び原告母の権利又は法律上保護される利益を侵害することについて,被告森に,故意又は過失があったか。
(原告父及び原告母の主張)
被告森は,原告元学生が原告父及び原告母に相談や報告することにより,原告父及び原告母の名誉感情を侵害することを十分認識・認容して本件発言に及んでいる。(被告らの主張)
原告元学生が被告森の本件発言を原告父及び原告母に伝えることがあると,被告森は思っておらず,また,原告元学生が伝えることがほぼ確実であるとはいえないから,被告森に故意又は過失はない。(5)被告森の本件発言は,原告父及び原告母の権利又は法律上保護される利益を侵害したか。また,仮に侵害が認められ,違法であるとした場合,違法性の程度はどのようなものか。
(原告父及び原告母の主張)
被告森の本件発言の内容は,原告元学生に対し,「だから,言いたいんだよ。会いたいんだよ,あなたの親に。あんた達はおかしい結婚をしたんだよって。」「そんな結婚は,はっきり言って犬猫の結婚だよ。」「お父さんお母さんみたいな生き方はしない方がいいよと。」などと,原告父及び原告母の名誉感情を著しく毀損する言動を一方的に浴びせかけているものであり,同言動を,原告元学生を通じて原告父及び原告母が知るに及べば,同人らの名誉感情は著しく毀損されるものであることは明らかで,現に,毀損されている。(被告佐賀大学の主張)
被告森の発言は,同人の結婚観に基づき人間と動物の違いについての一般論としての比喰・たとえ話としてなされたものであり,その文脈からすれば侮辱ではない。また,発言内容,状況などを考えると金銭賠償をもって補わなければならないほどの強度の違法性まではない。(被告森の主張)
被告森は,原告父及び原告母に対して直接発言を行っておらず,原告元学生が,被告森との会話を隠し録音した音声を,原告父及び原告母に聴かせているのであるから,被告森の本件発言は,金銭賠償をもって補わなければならないほどの強度の違法性まではない。(6)被告森の本件発言は,「事業の執行につき」なされたものか。
(原告らの主張)
前記(1)における原告らの主張のとおり,被告森の本件発言は,外形的・客観的に見て,被告佐賀大学が組織的に関与たし教員による学生指導であるから,被告佐賀大学の「事業の執行につき」なされたものである。(被告佐賀大学の主張)
被告森の本件発言は,被告森の私的行為であり,被告佐賀大学の「事業の執行につき」なされたものではない。被告森は,原告元学生に複数回の一方的で私的な感情を記載したメールを送り,メール以外にも恋愛行為に及ぶなど指導を逸脱した行為に出ており,原告元学生は 被告森の動機に恋愛感情があることを認識していた。原告元学生としては,被告森が恋愛感 情を抱き,指導を逸脱した行動に出ることを認識し得たのであり,被告森の本件発言が私的な逸脱行為であることは,原告元学生からすれば,外形的・客観的に明らかであった。(7)被告森の本件発言について,被告佐賀大学は,その事業の監督について相当の注意をしたか。
(被告佐賀大学の主張)
被告佐賀大学は,被告森が原告元学生に対して求愛するなどの行為に及んだりすることのないように十分な対策を日頃から講じていた。
(被告森の主張)
認める。
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